本日の担当者 檀原照和
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■お尻の下 第3回
檀原照和(第6号で「牛に関する誤解を解いておくよ」執筆)
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人間になりたい。
「妖怪人間ベム」も「ピノキオ」もみんな人間になりたがった。しかし、人間良いことばかりではない。ときには人間を卒業したくなることもある。いっそ椅子にでもなってしまおうか。
椅子が人間になるのは、ちとむずかしい。しかし人間が椅子になることは可能だ。人間が食器棚になることはむずかしい。しかしあなただって椅子にならなれるのだ。そう、体育会名物「空気椅子」という方法で。
もし運動部にいたことがあるのなら、どんな効果があるのかさっぱり分からないものの、脚が震えて止まらなくなり、辛さだけは否が応でも骨身にしみる、あの不自然きわまりない姿勢をよく覚えているはずだ。
がんばれ。「椅子の上にも三年」だぞ。ぷるぷる……。
人間の可能性は無限である。小説「人間椅子」の主人公みたいに、大きな椅子の中に潜り込まなくてもいい。身一つで、あなたは椅子になれるのだ。……かなりつらいけど。
ところで椅子になるのは人間だけの専売特許ではない。じつは地位も名誉もかなぐり捨てて、めでたく椅子になってしまった神さまがいる。エジプトの女神イシスだ。
イシスには永遠の処女のままホルスを身ごもったとか、死者の守護神だとか、魔術の神だとかいろいろな神話があるので、描かれ方は一様ではない。しかし「イシス」という名前そのものが「腰掛け」という意味なので、女神イシスを表す象形文字は玉座の形をしている。そのため、彼女の像は頭に石椅子を乗せていることが多い。カイロのエジプト博物館には、自らの頭の上にツタンカーメン王を座らせているイシス像がある。我が身を投げ打って椅子になりきる女神と、女神の頭を椅子代わりにするファラオ。異常だ。これは「超自然的な存在である神の上に跨がり、世界に号令したい」という傲岸不遜なエジプト王族の征服欲の現れなのだろうか。
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