言語は音・文字・文法・語彙・表現の五分野に分けられる。習得言語として学習した場合、京助の孫に当たる金田一秀穂の『日本語のカタチとココロ』によると、近隣の諸言語と比較して一般的な難易度はそれぞれでは次のようになる。

 まず、音は、日本語の音数は少なく、非常に容易である。バングラデシュのベンガル語は発音が非常に難しいことで知られている。ベンガル語には日本語の一〇一の音すべてが含まれている。また、アクセントも高低のみで、スウェーデン語のように、高低と強弱の二つを併せ持ってもいない。
 
  第二の文字は非常に難しい。ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットなどの使う分けふぁあり、中でも漢字の読み方は極めて複雑である。漢字は訓読みと音読みに大別できる。いずれも一通りでないものが多い。

 第三の文法は、難しくも、やさしくもなく、普通である。区切りにくい膠着語であるという点もあるものの、それは漢字の機能が吸収している。動詞の不規則変化、時制や人称、男性・女性・中性名詞、単数・双数・複数などの規則もゆるい。文法が非常に難しいのがアラビア語である。言語の達人フリードリヒ・エンゲルスも挫折したほどである。しかし、文法さえ身につけば、語彙もそれに依存していることもあり、上達する可能性は高い。
 
 第四の語彙は、漢字を知っていれば、やさしく、それを最初から始めるとなれば、きつい。語彙自身は少ないが、文字、特に漢字でそれを補っている。
 
 最後の表現は普通である。難しくもないが、容易でもない。よく言われる敬語表現も、朝鮮語やジャワ語の方がはるかに細かいし、グルジア語も結構入り組んでいる。
 
 以上のような特徴から、日本語において会話の習得は一、二ヶ月くらいの比較的短期間で可能であるが、読み書きとなると、漢字の問題があるため、困難を伴う。日本語は何よりも漢字の習得こそが上達への絶対条件である。その点で、日本語は聴覚的と言うよりも、視覚的言語である。