漱石の孫の夏目房之介は、『マンガはなぜ面白いのか』の中で、多様なコミュニケーションの必要性を次のように言っている。「マンガがとても豊かな娯楽性を発揮して、大衆文化として根づいているとすれば、先鋭的な表現と定型的な表現とが互いに完全に分離しないで、交流しながら発展しているからだろうと考えられます。おうおうにして批評家やマニアがバカにしてしまうような作品、どこを読んでも同じような類型的な作品がたくさんあることによって、初めてマンガ文化全体が豊かなダイナミズムを持ちうるのです。『いいマンガ』、『優れたマンガ』、『先鋭的なマンガ』のみを評価して、『くだらないモノ』は排除するという発想でマンガをとらえると、自分で自分の首をしめるようなことになりかねません」。これはマンガに限らず、文化全般に言える。文学も「『くだらないモノ』は排除するという発想で」とらえると、「自分で自分の首をしめるようなことになりかねません」。