メルレポ 2012年1月2日号(通巻第002号)

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本日の担当者 檀原照和

■お尻の下 第1回   檀原照和

脚、肘、背。

といっても健康について話したいわけじゃない。人間さまの身体の部位と同じ名前をもつ日用品について、だらだら書き連ねたいと思っている。そう、あなたがいま座っている椅子について。

「あし」とか「ひじ」とか、身体のパーツと同じ呼び名を持つだけあって、椅子は人間にいちばん似ている家具だと思う。だからタンスやテーブルとちがって、「人間椅子」のようなふしぎな話が伝わっていたり、考えられたりしている。デザインの自由度が高いので幾何学的な形をしたものも多い。

椅子がその本領を発揮するのは、まさしくその自由さにおいてである。日本で最初のスタイリストで、業界では大御所的存在の高橋靖子さん。「ジギー・スターダスト」時代のデヴィッド・ボウイの衣装を担当し、有名な「ヒーローズ」のジャケットやイギー・ポップの「パーティ」のスタイリングもこなした高橋さんの「千駄ヶ谷スタイリスト日記」に、こんな話が出ていた。

ある新人スタイリストが独り暮らしをはじめたときの話だ。師匠にあたる方に「最初に買う家具はなにがいいでしょうか?」と訊いたところ「椅子がいい」と言われたそうだ。理由は、電話台になったり、洋服掛けにしたり、複数の用途にまたがって利用できるから。三台置けば寝台にもなる。「椅子イコール座るための家具」ではないのだ。

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