仮にもう一度、天安門事件が起きた場合、その規模や勢いは確実に前回を上回る。理由は通信技術の発達だ。中国版ツイッターや中国版ユーチューブなどを国民が日常的に愛用している。情報は一瞬にして数万、数千万、数億人に伝わる。百戦錬磨の中国共産党でも対応できない。

 デモを収めるためには、やはり軍の出動が不可欠になってしまう。全国規模で若者と軍が真っ向から対峙する局面を、国際社会はどう見るだろうか。そもそも、軍を出動さえすれば、前回のように鎮圧に成功するなんていう保証は、どこにも無い。

 共産党幹部の一人が筆者に語った。「学生デモのように、共産党へのアンチテーゼとしての事件が起きれば、首脳部は必ず迷う——軍を出動させ、武力で鎮圧すべきかどうか。最高意思決定機関である政治局常務委員9人の間でも、意見が割れてしまう。中央から地方へ、党から軍部へ、政府からインテリへと無限大に伸びる権力闘争につながって、ガバナンスが一気に混乱する可能性が出てくる。そうなると、共産党は完全に統率力を失ってしまう」